社会福祉法人山梨ライトハウス

社会福祉法人 山梨ライトハウス

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曲名:青い鳥 作詞:竹内秀秋
作曲:一瀬公弘

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広報誌「うるおい」(拡大版)第380号 2021年11月20日発行

目次 障害福祉課からのお知らせ山梨ライトハウスから皆さんへ山視福協から山視民協からことばのミニ解説うるおい俳句教室暮らしのヒント新しい図書の紹介用具部からのお知らせ

障害福祉課からのお知らせ

11月は「白い杖愛護運動」の期間ですね。そして、「やまなし文化芸術推進月間」でもあります! 先月号でお知らせしていた「バリアフリー演劇」「障害者文化展」「障害者芸術・文化祭」が無事に終わり、担当者としてホッとしているところです。
 さて、今回は、その中でも初の試みであった「バリアフリー演劇 ~ヘレン・ケラー~」の公演について、実際に鑑賞してきた感想をみなさんにお伝えしていこうと思います。
 この演劇では、まず始めに、舞台の広さ、絨毯や緞帳の色、質感、舞台装置や大道具の種類、各場面での使い方について、劇団員が足音を響かせて舞台上を歩き回りながら説明してくれます。
 次に役者さんの自己紹介。それぞれの登場人物を演じる役者さんが、キャラクターの服装や髪型について説明し、さらに、舞台を移動する際の靴の音を観客に聞かせるために、その場で大きく足踏みします。
 ここから演劇がスタートするので、観客は、始まる前から既にヘレン・ケラーの世界。どっぷり浸かって楽しめます。
 また、私が面白いと思ったのは、音声ガイドがライブで入ること。役者さんの声と同じように会場全体に響くため、目の見える方も見えない方も、鑑賞者は皆、ガイドの声が聞こえます。私にとって、音声ガイドを聞きながらの観劇は新鮮な体験だったのですが、舞台の雰囲気を壊すことなく自然に聞こえてくるため、すぐに慣れてしまいました。
 今回、改めて感じたのですが、車いすユーザーの方については、劇場内の段差や専用席の整備などのハード面が鑑賞のハードルを高くしているのに対して、視覚や聴覚に障害のある方については、音声ガイドや字幕、事前の説明や資料の提供など、ソフト面で対応できる部分が大きいのですね。ハード面を整備するよりも迅速に対応しやすく、また、汎用性も高いと思いました。
 文化芸術においても、ハード面とソフト面、両方のバリアフリーが広まるよう、これからも取り組んで参ります。

ライトハウスから皆さんへ

 10月から郵便の土曜配達が廃止になりました。情報文化センターでも、毎週土曜日の点字郵便物の集配がなくなりました。皆さんのお手元に届く郵便物も、週末にかかる場合は今までより数日遅くなることが予想されます。図書の予約は、どうぞお早めにお願いします。お風呂でゆっくり体を温め、好きなお茶を飲みながら、これからの夜長、読書をどうぞお楽しみください。

 さて、情報文化センターが加盟する「全国視覚障害者情報提供施設協会」は前身の「全国点字図書館協議会」設立から今年40年目になります。先日、初のオンライン大会が開かれましたのでその様子をお伝えします。

大会に参加して

用具担当 鈴木 景子

 10月13日(水)から14日(木)の2日間、全国視覚障害者情報提供施設協会の第46回高知大会が、2年ぶりにオンライン開催で行われました。「情報共有社会の実現へ――読書バリアフリーの流れを高知から」をテーマに過去最多の115施設・団体の346人が参加しました。
 基調報告では、2018年に高知県と高知市が合同で整備した複合施設として開館した「オーテピア高知声と点字の図書館」の取り組みが紹介されました。同館内には、プレクストークなどの福祉機器やデイジー図書閲覧用iPadの体験スペースを設けているほか、デイジー再生機の貸出、学習障害のある人を主な対象としたタブレットの長期個人貸出などの手厚いサービスを行っているそうです。
 障害のある人が読書を楽しむためには、録音図書や点字図書などのバリアフリー図書だけではなく、読む環境を整える必要もあることを学びました。

 続いて、今月7日に行われた「白い杖福祉の集い」の席上にて生活体験文一般の部並びに児童生徒の部で最優秀を受賞されたお二人の作文をご紹介します。

今を大事に

甲斐市 白濱 顕子しらはま あきこ

 私が視覚障がい者としての道を歩き出して約七年が過ぎました。当時は、見えなくなっていく事への不安や、今までできていたことができなくなることへの葛藤をかかえながら歩行訓練や点字の勉強を始めました。訓練を受けていくうちに、再び一人で歩けることの喜びや生活の幅が広がっていく事への希望を抱くことができ、見えなくても日々を笑顔で明るく生きていきたいと思って生活できるようになりました。努力した分、自分自身の力となり、多くの人との出会いをいただき、この先ももっと生活の幅を広げていきたいと思えるようになりました。
 そんな中、コロナウイルスという恐ろしい感染症が足止めをしてきたのです。私たち視覚障がい者は、情報を得るために物に触れて感じたり、人とコミュニケーションを取ることがとても大事です。このウイルスはそれらのことを、ことごとくしてはならない事にしてしまったのです。そのために、外出も極端に少なくなってしまいました。同行してくれるヘルパーさんに対してもお互いに感染させてしまわないかと緊張したり、買い物に行っても消毒液の場所が分からなかったり、商品を手にとって選ぶのを躊躇したり、レジに並んでもソーシャルディスタンスの印が分からなかったり、店員さんとの間に仕切りができ言葉が聞き取れなかったりと、挙げたら切りがないほど多くのことが障壁に感じました。人々の外出が減った影響もあり、道を聞きたくても人に出会えないこともしばしばでした。このような状態がいつまで続くのかと悶々としたものです。
 しかし、いつまでもそんなことを言ってはいられないとも思い、今だからこそ自分にできることを探してみようと思いました。買い物に関してもネットスーパーを試してみたり、現金のやりとりがしづらくなった分、クレジットカードを利用してみたり、消毒液を常に持ち歩くようにしたりとあれこれ工夫してみました。今まで、助けていただいていた部分をどうやったら一人でも対応できるのか、ストレスなくできるのかを自分なりに考え試す日々でした。実際には、不便なことばかりではなく、コロナになったおかげで便利になったことも発見できました。失敗もしますし、できないこともありますが、できなかったことができたときの喜びに勝るものはありません。
 今現在もまだコロナウイルスは終息していませんが、その中でもできることを探していけたらいいなと思っています。外出自粛が叫ばれて、心もふさぎがちになりますが、そんなことに負けないで今だからこそできることを探して、自分自身を見つめ直せる良い時間にしたいと考えるようになりました。今出来ることを積み重ね、新しい基盤となるよう生活できたら、コロナが終息したあとの力になると信じて、前向きに元気に過ごしていきたいと思います。

できる喜び

山梨県立盲学校高等部普通科一年 河野 善こうの ぜん

 僕は、小学生の時に突然目が不自由になりました。それから文字が読めなくなったり、パソコンが使えなくなったり、箸が使いづらくなったり、急にできないことが増えて、これからの生活や将来がとても心配になりました。今まで当たり前にできていたことが突然できなくなることが、こんなに怖いことなのだと初めて知りました。
 そんな僕を心配してくれた父が、iPadを使って音声で本を読んだり調べものをしたりすることができると教えてくれました。父に操作方法を教えてもらい実際に使ってみると、自分の声で操作できることに驚きました。そのときの感動を今でも覚えています。目が見えづらくても、人に頼らずに自分だけの力で操作できる機械があるということを知り、将来の不安が少しだけ減りました。
 高校生になって、iPad以外にも音声を利用した機械がたくさんあることを知りました。僕は今、PLEXTALKプレクストークという機械を使って教科書を読んでいます。自分の好きな速さで教科書を読んでくれるので、とても聞き取りやすいです。また、ブレイルセンスという機械を使って点字を書く練習もしています。パーキンスブレーラーと違って、電子機器なので点字の書き直しができたり、点字を読み上げたりしてくれます。iPadでもvoice over機能を使って授業に取り組んでいます。このような音声機能が施された機械は、世の中でもたまに見かけます。例えば、体温計やエレベーターなど音声で情報を得ることができるものはとても便利です。しかし、自動販売機など音声がないものは情報を得る手段が少ないのでとても不便です。
 僕は日常生活の中で不便だと思うことがあります。それは自分がどこにいるのかわからなくなってしまうことです。移動するときは必ず周りのものを確認しながら、自分がどこにいるのかということを常に考えないといけません。もしわからなくなってしまったら、周りの人に聞くしかありません。そのため、初めて行く場所はもちろんですが、自分の知っている場所でも一人で歩くことは不安です。でも、音声を使って自分の場所がわかる機械があることを、僕は最近知りました。一回使ってみて、とても便利だと感じました。使いこなせるようになって、どんどん活用していきたいと思います。最新技術によって、移動や生活の不安が解消されるのは、とても嬉しいです。
 僕のように音声を活用しながら生活している人が、世の中にはたくさんいます。不自由があるからこそ、人に頼らずに自分の力でできることは大きな喜びです。それを実現する最新のテクノロジーの発展に感謝しています。視覚障害があっても生活しやすい環境が、もっと世の中に増えてほしいと思います。

 次に、奥秋曜子先生のお料理コーナーです。
 なお、先生のご都合により今月号が最後のレシピ紹介となります。では、Let’s try!

なんちゃって北京ダック

 *鶏肉を使って北京ダッグ風に仕上げます。下ごしらえさえしておけば、簡単です。

材料(3~4人分)
鶏肉 1枚
◆漬け汁
 しょうゆ 1/2カップ
 砂糖 大さじ3
 おろし玉ねぎ 大さじ1
 おろしにんにく 小さじ1
 紹興酒(日本酒) 大さじ1
◆付け合せ
 テンメンジャン 適量
 長ネギ・人参・きゅうりのせん切り 適量

<下ごしらえ>
・鶏肉は筋を切り、身の厚いところは観音開きにし、厚さをそろえる。皮は5~6箇所に包丁などで切れ目を入れておく。フォークで穴をあけてもよい。
・漬け汁の材料はすべて合わせておく。
・長ネギは白髪ネギにしておく。(4~5センチの長さに切り、中心を取り除き、細いせん切りにし、冷水に放ち、水気を切って使う)
・人参ときゅうりは、細いせん切りにする。
・包餅やトルティーヤの皮に包んでもよい。パンにはさんでもよい。

<作り方>
①下処理をすませた鶏肉は漬け汁に2時間~半日くらいつけておく。←長時間つけすぎると肉が固くなる。
②肉を漬け汁から取り出し、水気をキッチンペーパーなどで拭き取り、グリルの網の上に置く。グリルの自動調理キーから「つけ焼き」を選択し、スタートキーを押す。手動で操作をする場合は、手動中で12~15分焼く。←皮を下にすると、余分な油がよく落ちる。
*フライパンで焼く場合は、少量の油をしき、ヒーター中で両面を焼く。
*オーブンで焼く場合は、220℃~240℃で15分~20分焼く。
③焼きあがった鶏肉は、ひと呼吸置いてから取り出し、食べやすい大きさに切る。←熱いと切りにくい。
④付け合せの野菜とともに盛り付ける。
来月からは塚原みゆきさんがこのコーナーを担当します。

山視福協から

情報源などのデジタル化への波

理事 名取 利一としかず

近年、公共機関等でデジタル化が一段と進められ、各種申込や申請方法が書面による提出ではなく、パソコンやスマートフォンなどによって簡素化されている傾向にあります。最近では、コロナワクチン接種の申込方法がその一例ではないでしょうか。
 窓口まで直接出向いた方もいましたが、電話で申込をした方は、なかなか窓口につながらず、ラインで申し込んだ方に比べ、申込が一歩出遅れたように感じました。
 また、現在、県によって試験的に行われていますが、重度心身障害者医療費助成金制度に関し、現在施行中の、自動償還払い制度を見直し、スマートフォンによるキャッシュレス決済によって、医療機関の窓口での支払いを、実質的に無料化しようという制度を計画しているようです。
 たとえ一時的とはいえども、医療機関の窓口での支払がなくなるのは喜ばしいことなのですが、携帯電話に関しては、約7割の方が現在でもガラ系を愛用しており、スマートフォンを使用しているのはほんの一部の方のみとなっています。 
このように、様々な福祉制度をはじめ、申込や申請方法がデジタル化され、公共機関の窓口担当者にとっては、取扱等がスムーズに行われる利点があるかもしれませんが、障害当事者側としてはこれほどやっかいなものはありません。こんなことを書いている私もガラ系の携帯電話を使用しているひとりですけどね。
 全ての障がい者に不公平さが生じることなく、平等に福祉制度を受けられるよう、障害当事者の現状を見据えた上で様々な制度化等を確立していただきたいものです。皆さんはどう思いますか。
 なお、歩行時の情報源として、振動装置を利用者の靴に装着し、スマートフォンに取り込んだアプリにより目的地まで道案内をしてくれる補助装具。また、県内ではまだ具体的に活用されているとは聞いていませんが、横断歩道の歩行者用信号機が「いま赤です」とか「あとどれくらいで青になります」とか「あとどれくらいで赤になります」などと信号機の情報をスマートフォンを介し、具体的に知らせてくれるアプリなども開発されてきているようです。

山視民協から

「視覚障害者の投票権はどこまで保障されているのか」

副会長 伊東 一敏

 今号は、表題のことについてお伝えします。
 去る10月31日に行なわれた衆議院総選挙で465の議席が決まりました。今号では、点字投票をした3人の会員の様子の報告や、その現状と課題について明らかにしていきます。

「書きにくかった点字器

伊東一敏

 今回の選挙の点字器(懐中定規)は、これまでにない書きにくいものでした。候補者の名前を書きだすと、点筆が投票用紙とかみ合わず、点字の音がしません。そこで、隣のマスに移り点筆を入れると、硬いものが当たる感じでした。私は、相当の力を入れて硬く感じるところへ点筆を打ち込みました。すると、ぴしっという大きな音がして、点筆が動き出しました。なぜこんな状態になっているのか。書いているうちに、その原因がわかってきました。投票用紙が狭く、懐中定規の行間にゆとりがないこと。記載台に定規の面が固定されておらず、不安定になっていることなどで、書きやすくするための改善が必要です。投票のほうは、きれいな文字として打ち出され、ほっとしました。

「あと一歩気づくのが遅ければ投票は無効になった」

桜林正巳まさみ

 前回の国政選挙では、候補者の名前を間違えて書き、それを消した後で書き直すと言う失敗をしましたが、今回は上手く書きました。点筆は平型より丸型のほうが良いですね。
 付け加えること。
 候補者を間違って書いても後を残さずきれいに消して新たに書けば問題はありません。
 さて、職員に点字の小選挙区の投票用紙を墨字のものと間違えて渡されました。その職員がすぐに間違いに気づいたので良かったのですが、そうでなければ大事な一票が無効になってしまいます。最新の注意を払って対応してほしいですね。

「自分ができるところで投票環境の改善を~最高裁の裁判官国民審査で4人を不信任」

桜林正巳まさみ

 私は、このところの選挙では、期日前投票をしています。待ち時間がないよう予め予約をしています。事前に懐中定規と点筆で投票していて、今回は4人の裁判官の名前を書きました。その4人は、夫婦別姓に反対した人物で、私と立場を異にするので不信任にし、それらの人たちの名前を点字で書きました。投票については特に問題はありませんでしたが、そこでわかったことは、事前のものでもかまわないということ。期日前投票や不在者投票などは事前に予約するのも一つの方法であり、電話は市町村役所・役場の総務課です。

ことばのミニ解説

 だんだんと朝、布団から出るのがつらく感じる季節となりました。今年の冬は、「ラニーニャ現象」で寒くなりそうと先日耳にしました。そこで今月は「エルニーニョ現象」「ラニーニャ現象」についてご説明します。
 「エルニーニョ」とは、スペイン語で『男の子』を意味し、ペルー北部の漁民がクリスマスの時期に現れる小規模な暖流のことを「エルニーニョ」と呼んでいたことから、幼子イエス・キリストを指しているといわれています。この言葉に対し「ラニーニャ」とは、スペイン語で『女の子』を意味するそうです。
 「エルニーニョ現象」とは、南米ペルー沖の海域は冷水海域ですが、数年に一度赤道方面から暖かい海水が流れ込み、海面水温が平年より高い状態が1年程度続く現象をいいます。「ラニーニャ現象」とは、「エルニーニョ現象」の逆で、東太平洋赤道付近の海面水温が平年より低い状態が長期間続く現象をいいます。
 これらの現象の日本への影響は、「エルニーニョ現象」が起こると日本付近では、冷夏傾向にあり、冬季では暖冬傾向にあります。「ラニーニャ現象」が起こると日本付近では、夏季に太平洋高気圧が北に張り出しやすくなり、気温が高くなる傾向にあり、冬季では西高東低の冬型の気圧配置が強まり、気温が低くなる傾向にあります。今年の冬は、より温かくして過ごしましょう。

うるおい俳句教室 越石 一彦 選評

埜村 和美
掌に囲む大き湯呑や霜の朝
(評)俳句は感情表現を極力抑えた省略の文学。掲句も同様、霜が「冷たい」、朝が「寒い」とか、湯呑が「温かい」とかは一切言葉にしていない。湯呑を包んでいる作者の「掌」だけで冬の朝を詠っている。

縁側の光すくひて毛糸編む
(評)前句同様、縁側が「暖かい」とか、毛糸が「ふわふわ」だとかの表現はない。言わないからこそ、小春日和の暖かさや毛糸のふわふわ感が強調されるのが俳句。それにしても、「縁側の暖かな日の光を毛糸と一緒に編み込む」などという表現はなかなかできるものではない。佳句。因みに季語は「毛糸編む」で冬。

石井 迪男
秋寒し夜更けにまとふ陽の匂ひ
(評)温暖化の影響か、秋が短くなったような気がしてならない。作者同様に早や「秋寒し」は実感だ。掲句、日中の秋日をたっぷりと吸い込んだ暖かい蒲団に包まれることを作者は「陽の匂いを纏う」と嗅覚で表現し、俳句らしい一句となった。

新米の重さ気になる里便り
(評)今年の新米のできはどうだろうかと、ふるさとに想いを馳せている作者の様子がよく表現されている。作者だけではなく、すべての読者の郷愁を誘う一句であろう。

小川 賢治
立冬や雀の雛はもういない
(評)いつの間にか巣立っていった雀の雛を通して、季節の移ろう速さを詠っている。「いよいよ朝晩は寒さを感じるようになってきた。さあ、そろそろ冬支度を始めなければ」という作者の決意さへも感じられる一句。

雁風呂やひたすら命蓄えて
(評)津軽地方に伝わる風呂を進める風習を「雁風呂」というそうだ。渡ってくる雁が海上で憩う流木で焚いた風呂とのこと。そう考えると、「命蓄え」という措辞が改めてしみじみと伝わってくる。

小林 文雄
今朝もまたヒステリックに百舌鳥の鳴く
(評)「百舌高音」というが、言われてみると確かに耳につくヒステリックな鳴き声だ。「百舌の早贄」という恐ろしげな言葉も影響してか、ヒステリックがさらに強調された一句。

足音もすぐに飲み込む虫時雨
(評)足音も飲み込まれるほどの虫時雨、確かに時雨のように虫の声が聞こえてくる句だ。「蝉時雨」と同様に「虫時雨」もとても日本らしい美しい季語。虫にも優しい環境をこれ以上減らさないようにしなければならない。こんな作者の思いも込められている。

相沢 幸雄
点書読む指の感覚薄れけり
(評)指の感覚がなぜ薄れたのか、残念ながら掲句からは読み取ることができない。加齢からか、疲れからか、それとも寒さからなのか。その分からない原因は季語が配されていないことが大きい。無季俳句の難しさはこういうところにあるようだ。

木枯らしが施設の廊下を汚しけり
(評)前句と違い、掲句には「木枯し」という季語がある。「ふと気づくと、廊下が落葉や砂埃で汚れている。そうか、これはきっと夕べ吹いた木枯らしのせいに違いない。そういえば窓の外の紅葉も気づかぬうちに散り始めている。いよいよまた厳しい冬が来るな。冬支度を急がないと。」と、このように鑑賞ができるのは「木枯し」という季語が持つ「本意」があるからだ。「木枯し」が初冬の全てを象徴しているといってもいい。季語の持つ力、俳句の面白さがここにある。

中牧 洋子
予報士に急き立てられて冬支度
(評)気象衛星等の進化とともに最近の天気予報はよく当たるようになった。その天気予報で、いよいよ寒波が迫ってきていると言っている。今日はまだ暖かいが早く冬の準備をしなければ。と、この気持ちはよくわかる。「急き立てられて」という中七に思わず頷いてしまう一句。

吾亦紅こぶし振り上げ我を呼ぶ
(評)俳句における比喩は陳腐になりやすく本来とても難しいのだが、掲句の「こぶし振り上げ」には意表を突かれた。こんな楽しい比喩なら大歓迎。さらに下五を「我を呼ぶ」と、吾亦紅に風による上下の動きを与えており、巧みな一句となった。

竜胆の枯るるに任せ壺の中
(評)中七の「枯るるに任せ」に作者の意志を感じるので、おそらく忘れたのではなく、そのまま竜胆のドライフラワーを作っているのに違いない。竜胆はドライフラワーでも美しい。花の旬を楽しみ、また、枯れてゆく様子さへも楽しんでいる作者の前向きな生活スタイルが垣間見える。

伊東 一敏
晩秋の我はこの日に生を受け
(評)深まりゆく秋と自分の誕生日を重ねしみじみと味わっている作者の様子がよくわかる。「晩秋」という季語には、残りの人生をしっかりと見つめ、悔いのないように過ごしていきたいという作者の思いも含まれている。

手にしみる水の冷たさ秋超えて
(評)昨日までは気づかなかったのだが、今日は水が冷たく感じられる。いよいよ冬が近づいて来たんだな。という感慨を素直な表現で一句にしている。技巧を伴なわない平明な句は嫌みがなく、読者の心の中にすっと入ってくる。

「総評」

ワクチン接種率の上昇とともに現在は全国的にコロナウイルスが落ち着いているようだ。これから冬が近づき、さらに空気が乾燥してくることから、海外のように再度の感染拡大が懸念されるが、日本人特有の団結力をもってすれば必ず乗り越えられると確信している。今回はうるおい俳句でもコロナ関係の句はなく、その分、晩秋、初冬の味わい深い句が揃っているように感じた。

さて、今月のポイントとしては
・感情表現は抑える   ・俳句は省略の文学
・嗅覚で表現する    ・読者の郷愁を誘う
・作者の決意を籠める  ・日本らしい季語
・無季俳句の難しさ   ・季語の持つ本意
・俳句と比喩      ・平明な句 

等がありました。ぜひ参考にしてみてください。

次回は十二月。皆さんの個性的な表現で「師走」「年末」を一句にしてみてください。楽しみにしています。

「峡北の風に抗ふ青鷹」 一彦

それでは、25日締め切り厳守でご投句をお待ちしております。

暮らしのヒント

今月の暮らしのヒントは、「入浴中の事故を防ぐために」です。

 血圧を正常に保つ機能が低下するため、寒暖差などで急激な血圧の変動があると、脳内の血流量が減り意識を失うことがあり、これが入浴中に起きると溺水事故につながると考えられています。特に、熱い浴槽内から急に立ち上がった時に、めまいや立ちくらみを起こすような方は注意が必要です。また、高齢者は食後に血圧が下がり過ぎる食後低血圧を起こしやすいため、食後や飲酒後も入浴を避ける必要があります。
 ・入浴前に脱衣所や浴室を暖めておきましょう。
 暖かい部屋から、温度の低い脱衣所、浴室内に入ることで血圧が上がり、その後、温かい湯に入ることで血圧が低下します。この急激な血圧の変動を防ぐために、入浴前には脱衣所や浴室内を暖めておくことが大切です。
 暖房設備がない場合は、「湯を浴槽に入れるときにシャワーから給湯する」、「浴槽の湯が沸いたところで、十分にかき混ぜて蒸気を立て、蓋を外しておく」などして、できるだけ浴室内を暖め、寒暖差が小さくなるように工夫しましょう。
 ・湯温は41度以下、湯につかる時間は10分を目安にしましょう。
 目安として41度以下の湯温が推奨されているので、湯温はあまり熱くならないようにしましょう。また、湯につかる時間は、10分までを目安にし、長時間の入浴は避けましょう。
 ・浴槽から急に立ち上がらないようにしましょう。
 入浴中には湯で体に水圧がかかっています。その状態から急に立ち上がると体にかかっていた水圧がなくなり、圧迫されていた血管は一気に拡張し、脳に行く血液が減り、意識の消失を起こすことがあります。浴槽から出るときは、手すりや浴槽のへりを使ってゆっくり立ち上がるようにしましょう。
 ・食後、飲酒後の入浴は避けましょう。
 食後は、血圧が下がり過ぎる食後低血圧によって意識を失うことがあるので、食後すぐの入浴は避けましょう。また、飲酒後はアルコールが抜けるまでは入浴しないようにしましょう。

引用:政府広報オンライン

新しい図書の紹介

◎デイジー図書

11-1

畠中 恵 著 6:35
もういちど

内容 酔っ払った龍神たちが、隅田川の水をかき回して、長崎屋の舟をひっくり返したってぇ!水に落ちた若だんなは200年ぶりの天の星の代替わりに巻き込まれ…。「しゃばけ」シリーズ第20弾。
(音訳者:武藤紀子)

11-2

深水 黎一郎ふかみ れいいちろう 著 10:18
詩人の恋

内容 シューマンの妻・クララのもとに、偽名による脅迫状が届く。夫婦の友人・ブラームスは、ハイネの詩をもとに創られた連作歌曲集「詩人の恋」にこめられた謎を追う。一方、現代では「詩人の恋」をめぐる不可解な出来事が…。
(音訳者:武藤紀子)

11-3

名取 芳彦 著 3:49
心が晴れる知恵

内容 不安や心配事からの離れ方、イライラや怒りの静め方、落ち込んだ時や凹んだ時の脱出法、心が楽になる発想法など、心をおだやかにする生き方のヒントを、軽やかに、ユーモラスに説く。よく生きて、よく死ぬための教えも伝える。
(音訳者:佐藤久美子)

11-4

小林 泰三 著 7:44
未来からの脱出

内容 とある施設で平穏な日々を送っていたサブロウは、自分に過去の記憶がないことに気付く。不審に思って施設を調べると、「ここは監獄だ」という何者かからのメッセージが見つかり…。
(音訳者:加藤昌子)

11-5

平田 駒 著 4:40
スガリさんの感想文は絶え間ない嵐の中 4

内容 読書感想部に何者かが侵入し、大切な感想文が荒らされた。犯人は事務員の小田松かと思われたが、スガリさんの推理のはてに思わぬ人物に行きあたる。真相に直面したスガリさんは…。名古屋の名所を舞台にした学園ミステリー。
(音訳者 武藤紀子)

11-6

小松 弘 著 7:15
ベイルマン 人と思想166

内容 スウェーデンの芸術家・ベルイマンにとって、映画は自分自身を照らし出すものだった。彼の映画全作品を鳥瞰しながら、その思想と作品世界を紹介する。

11-7

野内 良三のうち りょうぞう 著 6:40
ミュッセ 人と思想170

内容 フランス・ロマン派詩人の一人であり、華麗な女性遍歴に彩られた生涯を送ったミュッセ。青春と恋愛の哀歓を歌い上げた名作を残した彼の真の姿を描く。

11-8

小磯 まさし 著 9:55
ヘルダリーン 人と思想171

内容 18世紀後半から19世紀前半にかけて詩作を行なうも、同時代から理解されたとは言い難いドイツの詩人ヘルダリーン。彼の生涯を詩作品とともに解説する。

11-9

角田 幸彦かくた ゆきひこ 著 13:59
キケロ― 人と思想173

内容 ギリシャ哲学をヨーロッパ中世へ伝えた、ローマの哲学者キケロー。彼の生涯と思想を述べることを通して、キケローの現代的意義を見出す。

11-10

安達 忠夫 著 7:24
アンデルセン 人と思想190

内容 アンデルセンの文学は、人間が抱える矛盾や葛藤を洞察し、平明な言葉と鮮烈なイメージで語ってくれる。生涯と作品の両面から、彼の文学の神髄に迫る。

11-11

金田 法子 著 6:37
ジェイムズ・ジョイス 人と思想194

内容 20世紀の最も重要な小説家とも言われるアイルランドの作家ジェイムズ・ジョイス。様々な困難と戦いながら生きた彼の生涯を辿り、その思想の背景を探る。

11-12

熊野 純彦すみひこ 著 10:29
三島由紀夫 人と思想197

内容 多くの作品を遺して壮絶な最期を遂げた三島由紀夫。主要作品の系列を読みなおし、その政治的行動の背後にある彼の生と思考の軌跡を明らかにする。

11-13

首藤しゅとう 若菜 著 9:05
物流危機は終わらない

内容 ネットで注文した商品が、送料無料で翌日配達される。だが、その荷物を運ぶドライバーは、過酷な労働を強いられている。私たちの暮らしや経済を支える物流。それを維持するためのコストは誰が負担すべきなのかを考える。

11-14

野口 晴哉はるちか 著 6:51
病人と看病人

内容 病気を看る看病人は最も良く、病人をみる看病人は次に良く、病人に見られようとする看病人は全く価値がない、という。病気になった時の心の状態や、看病する立場になった時の心の状態など、人間の潜在意識を探求する。

11-15

サトウ チカ 著 6:44
ひらけ!オフグリッド

内容 電力会社との契約を「オフ」して、たった8枚の太陽光パネルだけで100%電力自給を実現。家庭で使う電気くらいであれば十分まかなえることを実証した、オフグリッド生活を紹介する。ソーラークッキングレシピも掲載。

11-16

安田 秀一 著 9:27
スポーツ立国論

スポーツが国を強くする!スポーツがもたらすさまざまな効能について解説し、主に経済的側面における欧米での事例をもとに「我が国をどのようにアクティベートするか」というアイデアや提言の数々を記す。

以上、厚生労働省委託図書です。

◎一般CD図書

藤沢 周平 原作/松平 定知 朗読
NHKラジオ「私の本棚」より 9タイトル紹介します。

11-1

踊る手 0:40

内容 伊三郎の一家が老女一人を残して夜逃げした。残された老女は近所の人の世話を拒否して何も食べようとしないが、少年の信次がその心を和らげていく。結局、伊三郎は戻って来て、老女を連れて行く。

11-2

隠し剣鬼ノ爪かくしけんおにのつめ 1:05

内容 刃傷沙汰により幽閉された狭間弥市郎はざまやいちろうは脱獄して、討手に恨みのある片桐宗蔵かたぎりむねぞうを指名する。片桐は狭間の妻に助命を乞われるが、狭間を打ちさらに狭間の妻を裏切った上司の堀も打ち果たす。

11-3

暗黒剣千鳥あんこくけんちどり 1:15

内容 三年前、家老の牧の命令でその政敵を切った五人が次々に殺され、生き残るのは遂に三崎修助みさきしゅうすけだけとなる。家老の邸に向かう途中襲われるが、間一髪相手を切る。それは意外にも家老だった。

11-4

冬の日 0:49

内容 清次郎が再会したおいしは、度々の不幸に見舞われ今は零落の身。昔、不良たちの暴力から救ったことのあるおいしを、清次郎は再びその境遇から救い出す。

11-5

女下駄おんなげた 0:48

内容 再婚同士の清兵衛とお仲は、仲睦まじく暮らしている。ところが、清兵衛は女房が他の男と一緒にいたと聞かされ心穏やかでなくなってしまう。

11-6

遅いしあわせ 0:51

内容 やくざな弟のために離縁されたおもんは飯屋の給仕をしていて、その店に通う桶職人の重吉に淡い感情を抱いている。ある日、弟の金の使いこみが原因でやくざに脅かされるが、重吉に助けられる。

11-7

孤立剣残月こりつけんざんげつ 1:00

内容 上意討ちで鵜飼佐平太うかいさへいたを討った小鹿七兵衛こじかしちべえは、佐平太の弟から果し合いを申し込まれる。腕に自信がなく助勢も望めない七兵衛は、果し合いで劣勢となったが妻の高江により助けられる。

11-8

女難剣雷切じょなんけんいかずちぎ 0:49

内容 若い頃には剣の腕で称賛されたこともあった佐治惣六さじそうろくだが、今は風采が上がらない中年男。上司の服部から紹介を受け再婚したが、相手が服部の妾とわかり、秘剣で二人の髷を切り落とす。

11-9

運の尽き 0:35

内容 参次が悪童仲間に米屋の娘を誘惑して捨てた話をしていると、当の娘の父親が来て参次を捕まえ米搗きの仕事をさせる。そして、二年後、参次は。

以上、藤沢 周平 原作/松平 定知 朗読
NHKラジオ「私の本棚」より 9タイトルです。

11-10

田口 八重 著/森 光子 朗読 2:13
NHKラジオ「私の本棚」より おこしやす 全2巻

内容 京都の老舗旅館「柊家ひいらぎや」で六十年仲居をつとめた著者。この旅館に来た三島由紀夫、川端康成、林芙美子らの忘れ得ぬ素顔と思い出の数々を綴った、91歳の語り残し、思い残しの記録。

11-11

田中 良介りょうすけ 編集 全1巻
声の野鳥だよりベスト録音集 日本国内版

内容 「鳥好き良ちゃんの声の野鳥だより」収録の中から日本国内で録音した、思い出と深い思い入れの詰まった鳥の鳴き声を紹介する。

11-12

田中 良介りょうすけ 編集 全1巻
声の野鳥だよりベスト録音集 韓国・台湾版

内容 「鳥好き良ちゃんの声の野鳥だより」収録の中から韓国と台湾で録音した、思い出と深い思い入れの詰まった鳥の鳴き声を紹介する。

以上、12タイトル寄贈図書です。

◎貸出おすすめデイジー図書

今月は最近完成した図書の中からご紹介します。

S11-1

林 真理子 著 11:09
小説8050しょうせつはちまるごまる

内容 完璧な人生を送っているように見える大澤正樹には秘密がある。彼の長男・翔太は7年間も自宅に引きこもっていた。娘が相手家族に結婚を反対されたことから正樹は息子と向き合う決意をするが…。
(他館複製図書)

S11-2

東野 圭吾 著 8:40
透明な螺旋

内容 房総沖で男性の遺体が見つかった。失踪した恋人の行方をたどると、事件の関係者として天才物理学者の名が浮上した。探偵ガリレオシリーズ第10作。
(他館複製図書)

S11-3

小路 幸也 著 5:37
あの日に帰りたい

内容 歩いていなくなる雪だるま、指名手配犯の目撃情報に謎の霊能者の登場、そして銃撃事件まで、田舎町で起きる事件を駐在所に赴任した元刑事の簑島みのしま周平と元医者の花の夫妻が、優しさとおせっかいで謎を解く、ハートフル連作短編集。

(他館複製図書)

S11-4

松本 清張 著 11:51
佐渡流人行さどるにんこう 改版

内容 誤解から役人の妻との過去を疑われた男が、絶海孤島佐渡に送られ、想像を絶する苦しみを味わう『佐渡流人行』。下級役人の哀しい運命をたどる『甲府在番』。江戸っ子の意地を痛快に語る『左の腕』。ほかに『陰謀将軍』『戦国謀略』など戦国時代に取材した力作8編を収める。

(他館複製図書)

S11-5

青山 美智子 著 4:15
月曜日の抹茶カフェ

内容 川沿いの桜並木のそばに佇む喫茶店「マーブル・カフェ」が、定休日の月曜日に、一度だけ「抹茶カフェ」を開くことに…。一杯の抹茶から始まる、東京と京都をつなぐ12カ月の心癒されるストーリー。
(他館複製図書)

◎点字図書

11-1

(福)山梨ライトハウス白い杖作文編集委員会 編 全2巻
愛盲作文集 5

内容 第56回(平成22年)~第65回(令和元年)までの白い杖愛護作文と生活体験文の最優秀賞受賞作品を紹介する。
(点訳者:渡辺優子)

11-2

佐々ささ 涼子 著 全4巻
エンド・オブ・ライフ

内容 多くの患者を看取ってきた看護師の友人が癌になった。「看取りのプロ」の死への向き合い方は、意外なもので…。最期の日々を共に過ごすことで見えて来た「命の閉じ方」とは。在宅での終末医療の現場を描くノンフィクション。
(点訳者:奥本和代)

11-3

湯川 れい子 著 全4巻
女ですもの泣きはしない

内容 日本の洋楽界をリードする本質をついた評論、心を揺さぶられる切ない作詞。その裏側にはいつも身を切る恋があった。「六本木心中」「恋におちて」を生み出した半生を綴る。『日本経済新聞』連載を加筆し書籍化。
(点訳者:清水伊代)

11-4

凪良なぎら ゆう 著 全4巻
すみれ荘ファミリア

内容 下宿すみれ荘の管理人を務める一悟は、気心知れた入居者たちと慎ましやかな日々を送っていた。そこに、芥と名乗る小説家の男が引っ越してくる。彼は幼いころに生き別れた弟のようだが、なぜか正体を明かさない。愛は毒か、それとも救いか。本屋大賞受賞作家が紡ぐ家族の物語。
(点訳者:点訳部)

11-5

石丸 千尋 著 全4巻
名もなき桜

内容 幼い日、惹かれ合ったまま別れたとおる紗彩さあや。亨は幼い日の思いを胸に、紗彩に手紙を出すが、思いがけない「再会」に振り回されることになる。切なくも温かい読後感に満たされるやさしい初恋小説。
(点訳者:点訳部)

11-6

中澤 美喜子 著 全3巻
瑠璃るり

内容 消費する欲望に安住していた瑠璃はある日、内奥にわく渇望に目覚める。苦悩の日々の後、再生してゆく中で、恋人と訪れたフィレンツェでの心揺さぶる絵画との出会い。瑠璃の中に新たなる息吹が吹き込まれる。 
(点訳者:山田栄子)

11-7

まはら 三桃みと 著 全3巻
思いはいのり、言葉はつばさ

内容 これはね、女性だけが書く文字なんだ。中国・湖南省で文字を習うことのできなかった女性たちが、思いを伝えるために生み出し、伝承してきた文字「女書にょしょ」をテーマにした物語。

11-8

ベバリイ・クリアリー 著 全2巻
ラモーナは豆台風 ゆかいなヘンリーくんシリーズ8

内容 いよいよ幼稚園に通い始めたラモーナは、もう赤ちゃん扱いはごめんとばかりに、大はりきり。ところが、初日から思い通りにいかず…。やんちゃで、ちょっぴり元気がよすぎる女の子の生活を描いた、ゆかいな物語。

11-9

ベバリイ・クリアリー 著 全2巻
ゆうかんな女の子ラモーナ ゆかいなヘンリーくんシリーズ9

内容 ラモーナがいよいよ小学生に。はりきって出かけたけれど、入学1日目から騒ぎを起こしてしまいます。活発で元気な女の子が、失敗を繰り返しながら成長していく姿をユーモアいっぱいに描く。

11-10

中澤 晶子 著 全1巻
さくらのカルテ

内容 サクラハナ・ビラ先生は桜専門の精神科医。美しく咲く桜にだって悩みはあります。ビラ先生が出合った桜たちの物語をお届けします。

11-11

マーガレット・ワイズ・ブラウンウィリー 著 全1巻
ウィリーのぼうけん

内容 自分だけの、生きている本当の動物を飼いたいと思った、ウィリー。いなかに住んでいるおばあちゃんに頼むと、「ミューミュー」と鳴く動物を送ってくれると言い…。「ウィリーのどうぶつ」をはじめ全3話を収録。

11-12

如月きさらぎ かずさ 著 全1巻
たんじょう会はきょうりゅうをよんで

内容 ぼくのたんじょう会に、すごくお行儀がいい“きょうりゅう”がやってきた!でも、きょうりゅうがケーキを食べると大変なことが起こり…。きょうりゅうとぼくの「ほんかくてき」な友情物語。

以上、厚生労働省委託図書です。

◎デイジー雑誌

厚生労働省 委託 1 枚
声の広報 厚生 第273号

◎点字雑誌

TBSラジオ 寄贈 1冊
TBSラジオ 点字・拡大文字 音声コード番組表 令和3年10月~令和4年3月秋冬号

5冊寄贈されましたので、ご希望の方は貸出係までご連絡ください。4名の方に差し上げます。

厚生労働省 委託 1冊
点字 厚生 第287号
公明党 寄贈 1冊
点字 こうめい 2021年11月発行
盲人伝道協議会 寄贈 1冊
信仰 令2021年10月・11月号
全日本鍼灸マッサージ師会 寄贈 1冊
東洋療法 2021年10月・11月号
全国盲ろう者協会 寄贈 1冊
SSKA協会だより No.32
全国盲導犬施設連合会 寄贈 1冊
盲導犬情報 第27号

◎貸出おすすめデイジー雑誌

宮城県視覚障害者情報センター 編 1枚
声のカレンダー 2022年 令和4年

今月のおすすめ雑誌は、「声のカレンダー2022年 令和4年」です。完成予定は12月15日です。
毎日の暦は、日にち・曜日・六輝を読んでいます。各月ごとに歳時記も読んでいます。
お手元のプレクストークにバックアップして毎日お聞きいただくのも良いのでは。バックアップが難しい方は、1枚150円かかりますがコピーサービスでCDをお手元に置いて聞いていただくのも良いかもしれませんね。
ご希望の方は貸出係までご連絡お待ちしております。
また、テープ図書の貸出は、来年令和4年3月31日をもって終了となります。利用者の皆様には、カセットデッキからCD図書再生機への移行準備をお願いします。プレクストークの入手困難な方は貸出係までご相談ください。

≪用具部からのお知らせ≫

 まず、9月にお知らせしたプレクストークの生産状況について続報です。再生専用機PTN3はすでに生産が停止しており、販売店にも在庫がなくなりましたので、現在お取り寄せができません。録音機能が付いているPTR3につきましても、10月下旬に生産が停止され、販売店に在庫がある限りの販売となりました。一部の販売店では、すでに在庫がなくなっています。申請や購入を検討している方は、お早めにご相談ください。
続いては、白杖に関するお知らせです。「日本点字図書館わくわく用具ショップ」は、メーカーからの仕入れ値変更に伴い、一部の白杖を値上げしました。先月の「ID(アイディー)ケーン」「アドバンテージ」に続く値上げとなります。今回値上げの対象となるのは「セガワケーン」「セガワスリムケーン」「ミニステッキ」「グラスファイバーケーン」「身体支持併用の白杖」です。値上げ額の一例をあげると、いずれも石突がスタンダードタイプの場合、セガワケーン(携帯用)は1,150円、セガワケーン(直杖)は920円、セガワスリムケーン(携帯用)は1,200円、身体支持併用は380円の値上げとなります。
さて、11月は「白い杖愛護運動月間」です。今使っている白杖の石突は、すり減っていませんか? 12月17日(金)までにご来館の方に限り、摩耗した石突の無料交換を実施しています。交換の対象となる石突は、山梨ライトハウスに在庫のあるスタンダードタイプの石突のみです。ご希望の方は、まずお電話にてご連絡ください。
最後に、おすすめ商品の紹介です。今回ご紹介する商品につきましては、お取り寄せ時にかかる販売店からの配送手数料を、山梨ライトハウスが負担します。ただし、お支払い方法がご来館もしくは郵便局での払込みの場合に限ります。2022年1月31日(月)ご注文分までの期間限定です。ぜひご利用ください。
まずは、手のひらサイズのかわいいネコやライオンが、温度と湿度を教えてくれる「おしゃべり温湿度計」です。頭を2回続けて押すと温度と湿度を音声でお知らせします。ネコは1時間に1回、ライオンは30分に1回自動でおしゃべりをし、このおしゃべりの内容で今のお部屋の状態を知ることができます。お部屋が暗いとおしゃべりしたり光ったりしないので、睡眠時起こされる心配もありません。また、お部屋の電気をつけるタイミングを知る目安にもなります。価格は期間限定で3,040円です。
商品仕様
•大きさ:ネコ型(幅)6×(奥行)10.5×(高さ)7.2cm
ライオン型(幅)9.5×(奥行)10.5×(高さ)8.3cm
•重さ:約150g
•使用電池:単4電池3本
•メーカー:ハシートップイン
•取扱説明書:音声(一般CD)
2品目は「体操ブーブー」です。手のひらサイズのブタのマスコットと一緒に、いつでもどこでもラジオ体操!ブタの鼻のボタンを押すと、9種類のかけ声の後、ラジオ体操第一が流れます。ラジオ体操は全身運動なので健康維持やダイエットにおすすめです。コンパクトなので、どこにでも置けてどこにでも持っていけます。音量の調節はできません。期間限定価格1,830円です。
商品仕様
•大きさ:(幅)7×(奥行)5.5×(高さ)8.5cm
•重さ:約94g
•使用電池:単4乾電池2本
•メーカー:ハシートップイン
•取扱説明書:音声(一般CD)
以上、今月のお知らせとおすすめ商品の紹介でした。お問い合わせ・ご注文は、電話055-223-1113(貸出・用具専用電話)まで、お願いします。