広報誌「うるおい」(拡大版)第379号 2021年10月20日発行
目次 障害福祉課からのお知らせ:山梨ライトハウスから皆さんへ:山視福協から:山視民協から:ことばのミニ解説:うるおい俳句教室:暮らしのヒント:新しい図書の紹介:用具部からのお知らせ
障害福祉課からのお知らせ
みなさん、文化芸術の秋がやってきましたよ!アート関連のイベントが目白押しの季節ですね!県主催のイベントもたくさんありますので、今回は雑談なしで、いきなり紹介に入ろうと思います。
まず、11月3日(水曜日)には、北杜市内の旧日野春小学校にて、「東京演劇集団 風」によるバリアフリー演劇「ヘレン・ケラー」の公演を行います。見えない方や見えにくい方も楽しめるよう、音声ガイドを用意するほか、公演が始まる前に、役者さんの衣装や舞台装置に触れることのできる時間を設けております。事前予約制ですので、興味のある方はYAN(山梨アール・ブリュットネットワークセンター)にお問い合わせください。満席の場合でも、ネットを通してご自宅で動画の視聴ができますよ。
また、11月5日(金曜日)から9日(火曜日)まで、県立図書館において「山梨県障害者文化展」の総合展を開催いたします。前号で紹介した地域展から選抜された作品たちが展示されますので、この機会にぜひ鑑賞してみてください。
さらに、文化展開催初日の11月5日(金曜日)には、甲府駅北口よっちゃばれ広場で「山梨県障害者芸術・文化祭」を行います。本年度は新型コロナウイルス感染症対策のため、残念ながら舞台発表やふれあい交流コーナーは中止となりますが、障害者福祉施設等の皆様による物品販売が行われます。かわいらしい雑貨やおいしいお菓子、新鮮な野菜のほか、障害のある作家さんによるアート作品を利用したポストカードなども販売しますので、文化芸術のイベントとして楽しんでいただきたいと思っております。
加えて、5月号で紹介した「いえなか美術館」の展示も、この秋は甲府市内に戻ってきます。10月19日(火曜日)から29日(金曜日)まで、山梨中央銀行本店のロビーにて展示が行われますので、近くにお越しの際はぜひお立ち寄りください。
さて、あっという間にページが埋まってしまいました。次号もよろしくお願いします。
ライトハウスから皆さんへ
今年の秋のイベントも、コロナ禍で縮小や中止が相次いでいます。当法人の行事についても、残念ながら去年に引き続き、11月に行う白い杖愛護運動月間行事「白い杖・盲導犬キャンペーン」は中止、「白い杖福祉の集い」については、去年と同じく受賞者のみの参加とします。なお、白い杖愛護作文、生活体験文の受賞作品については、次号以降にご紹介していきます。どうぞお楽しみに。
さて、五節句のひとつ、重陽の節句は、菊の節句とも呼ばれ、無病息災や長寿を祈ります。新暦の9月9日はまだ菊もつぼみになるかどうかの時期ですが、旧暦の9月9日は、現在の10月中旬ごろにあたり、まさに菊が美しく咲き誇る時期を迎えます。
今月は、毎年11月にたくさんの菊の鉢を山梨ライトハウスの各施設玄関前に届け、私たちに色彩や香りを楽しませてくださる小林望さん(前 青い鳥老人ホーム施設長)の話をお届けします。
百鉢の菊づくりを楽しむ
小林 望
私が菊づくりを始めたのは10年ほど前です。兄弟で日頃の疲れをとるために、夫婦連れで「みたまの湯」に集まりました。話題は何といっても健康づくりや趣味が中心で、その時に兄から三本仕立て菊づくりや懸崖づくりと併せ、亡父の菊づくりの話を聞かされました。
亡父は、当時としては珍しい「三本仕立て」の菊を三百鉢作っていたことから、地元ではちょっとした菊づくりの有名人でした。また、大事に育てた菊を地元の小中学校等に届けていたそうです。
その年の春先に、兄からさし芽のしてある菊五鉢が届けられました。私は、早速、菊の本を片手に自己流で摘心や側枝などを行い、もちろん水も毎日欠かさずやりました。すると、10月の下旬には不揃いではありましたが、五鉢の菊が開花しました。
2年目からは本格的な菊づくりを始め、3年目には百鉢の菊づくりに挑戦しました。しかし、開花するまでには、水のやりすぎのために根腐れや消毒が十分でないためにアブラムシやダニで葉が枯れるなど、なかなか思うような菊百鉢が作れませんでした。
このような失敗を何年か続けていたところ、「山梨菊の花会」の存在を知り入会しました。先輩たちから、さし芽のやり方や胴切り(3本の背丈の調整など)やシェード(開花時期を早める技術)など、今まで知らなかった技術の指導を受け、5年目にやっとほぼ百鉢に大きな菊を開花させるまでになりました。と同時に、老人ホームなど数か所に三本仕立ての菊を届け、亡父の菊づくりの思いを少し受け継ぐことができました。
また、このように先輩たちの適切な指導のおかげで、昨年は「菊競技大会」で思いがけなく知事賞を受賞しました。今年も百鉢の菊づくりをめざし、水やりに明け暮れています。
なお、山梨県菊花競技大会と菊の展示会が、今年の11月1日から6日(2日は除く)まで、甲府市総合市民会館で開催されます。コロナ禍ですが、ご鑑賞いただき少しでも心を癒していただけたらと思います。
百鉢の菊づくりにと挑戦す
大輪の花咲かす夢持ち
百鉢よりよりて届けん菊の鉢
ホームの老いらの笑顔が浮かぶ
今年こそ「三本仕立て」を知事賞に
せむと意気込む春からずっと
続いて、奥秋曜子先生のお料理教室です。
さあ、Let’s try!
カンタン!チーズパン
ホットケーキミックスを使ってオーブントースターで焼くだけの簡単なパンです。
材料(4個分) | |
ホットケーキミックス | 1袋 |
プレーンヨーグルト | 大さじ3 |
水 | 1/4カップ(50ml) |
ピザ用チーズ | 60g |
<下ごしらえ>
・ホットケーキミックスは市販の1袋150g入りのもの。
・プレーンヨーグルトは砂糖の入っていないもの。水を切らずに使う。常温に。
・ピザ用チーズはスライスチーズタイプのものを4枚使ってもよい。
<作り方>
①ホットケーキミックスにヨーグルト、水を加えて切るように混ぜる。 ←ゴムベラなどを立てるようにして混ぜる。
②オーブントースター用の天板にオーブンシートかフライパン用ホイルを敷いておく。 ←フライパン用ホイルの方がくっつかず、焼ける心配が少ない。
③①を4等分し、②に並べ、チーズをまんべんなく上に置く。 ←スライスタイプの方が乗せやすい。
④予熱をしていないオーブントースターに③を入れ、8分焼く。
⑤焼きあがったらすぐに取り出さずに1~2分ほど置いてから火傷に注意して取り出す。 ←焼きあがったばかりの天板は熱いので注意!
山視福協から
耳で鱗を落とす?
職業部長 酒井 弘充
それをいうなら、「目からだろう」とどこかからつっこまれそうですが・・・。国語辞書で、目から鱗が落ちると検索してみますと「何かがきっかけになって、急に物事の実態などがよく見え、理解できるようになるたとえ」とあります。私は今回このような体験を視覚ではなく聴覚を通して経験しました。
私の視覚状況は視力0.01で高度の視野狭窄があります。弱視としてはかなり見えない方です。文字を読む速度が遅く、漢字も苦手だったため、高校生時代からは点字で学習をしていました。その後、就職を機に使用文字のほとんどを墨字(通常の文字)に戻しました。それに伴い、パソコンも音声ではなく、画面拡大ソフトを利用していました。30代までは白杖もつかず行動していました。
この視覚を利用した生活が少しずつつらくなってきたのは40代からでした。大学時代に視覚の生理と病理という科目を担当してくださった教授から「お前は40すぎたら見えなくなるぞ。」と言われ「いいえ、私の眼は進行性の疾患ではありませんよ。」と答えると、その教授は「お前を見ていると、その視覚状況にしてはいろいろな場面で見えすぎているように感じる。脳で相当補正しているはずだ。40すぎると普通の人でも動体視力とか落ちはじめる。それは脳の処理能力が落ちるからだ。お前は脳で補正して見ている割合が高いから、それくらいの年齢になると急に補正がきかなくなり見えづらくなるはずだ。」と答えてくれました。
その時はそんなものかと軽く考えていましたが、教授のおっしゃる通り、40前後に今まで見落とすはずのないようなものを見落とし、正面からぶつかったり、落っこちたりするようになりました。そして、40半ばに命の危険を感じるような体験をしてから盲導犬と歩くようになりました。
そして、50にはいった頃から、墨字の処理にもすこしずつ限界を感じるようになりました。それが特に顕著になったのはパソコン操作です。学生時代にはAOKワープロソフトなどを使い、音声環境でパソコンを使う便利さは実感していました。しかし、当時の音声環境で動作するソフトは値段が非常に高く、また一般の人が使うソフトとはあまり互換性がなかったため、通常のソフトを画面拡大して使用していました。それが、限界に感じ始めたのはメール管理の作業です。職場のパソコン環境が1年ほど前に大きく変わり、メールがOffice365環境下でのOutlookになりました。このソフトが今まで使用していたものに比べ非常に見づらく、一日に何十通もくるメールを読んで必要に応じて整理するためにボックスなどに仕分ける作業がむずかしく、メールチェックがおっくうになってきました。忙しさにかまけて放っておくと、あっという間に50通を超えてしまいます。また、そのメールを読んでいないために仕事にも支障が出てきました。自宅のパソコンはもっとすさまじく、何らかのユーザー登録をすると企業からの広告メールなど多数来るため、すぐに数百通にもなってしまいます。その中から必要なメールを目で探し出すことはとても疲れ、ほとんど手付かずになってしまいました。
そのようななか、これは何とかしなければと考え、音声ソフト
PC-Talkerと音声メーラーMyMailに切り替えました。このような音声ソフトは以前からあり、なんで使わなかったのかと考えると、いろいろあります。その時点で使っていたソフトからの環境移行に手間がかかること。仕事で使っていたパソコンが1年前までは音声メールにうまく対応していなかったこと。それにも増して大きかったのは、パソコンは目で見るものという固定観念が強かったのかもしれません。移行してみれば盲導犬と同じく自分に合っていて何よりも楽に物事が行えます。最近では、メールを読み管理することが職場でも自宅でもまったく苦にならず、音声で確認しいらないものは削除し、必要に応じて整理し、自動仕分け機能も使ってスイスイと作業ができます。
こんなことならもっと早く移行していればよかったのにと思いますが、ただ、それができなかったのは「今までの自分へのこだわり」にしがみついていたのでしょう。仕事柄、中途視覚障がい者のカウンセリングを学校や病院で行いますが、「なぜ、そこにこだわるのかな?」と感じることがよくありました。でも、自分自身もこだわっていたのだと、視覚に障がいをもって何十年もたつのに変われないのか、人は年をとればとるほど簡単には変われないのだと強く感じました。「まぁ、そんなに簡単には変われないんですけど。」と人に言っていた言葉がそのまま自分に帰ってきたような感じです。
まさしく、目から鱗が落ちるという感じです。こんなこだわりはまだまだあって、だんだん頭が固くなっていくのかもしれませんが、とりあえず、今の感想はパソコンは音声の方がぜったいに楽という実感です。目の鱗を、耳をつかって落としたという感じでしょうか。これからも年を重ねあちらこちらにいろいろと鱗がつくでしょうが、落とすことも忘れずに生活していきたいものです。
山視民協から
今年度要求運動の重点課題とこれまでの取り組み
副会長 伊東 一敏
今号は、表題のことについてお伝えします。
本会は、今年度を21年の7月から22年の6月までとし、活動をしています。ここでは、今年度の要求運動の重点課題と、これまでの取り組みについて明らかにしていきます。
1 あはき法19条裁判に勝利するために、9月末までに点字署名を集めていく。会員を含め16筆を集めました。
2 県内の8市町村に対し、視障者が意思疎通支援員派遣事業の対象者であることを認めてもらうよう働きかけ、それを第一歩にして入院時に支援が受けられるようにしていく。これについては8月のうるおいで取り上げています。
3 県が計画しているスマホ電子決済(以下、電子決済という)による医療費の実質窓口無料化は、利用者の間に差別と不公平をもたらすものであり、その中止を求めていく。
9月30日の山日新聞は、電子決済による医療費の実質窓口無料をすすめるために、甲府の一部重度障害者の協力を得て、県立中央病院で試験的にそれを行うと報じていました。私(伊東)がどういうことか障害福祉課に聞きました。担当者は、これを実施するためには2つのことをクリアしなければならない、一つは、医療機関の協力を得ること、もう一つは、かかる医療費が少ないのでペナルティーを受けないよう国と話を詰めていくと述べました。これについていうと、県内の全医療機関で電子決済ができるのか。また、例え一部の医療費が窓口無料になっても、国からのペナルティーは避けられないのではないかと思います。私は、この問題についての本会の考えを述べた上で、この計画の中止など見直しするよう要望しました。
4 甲府駅バスターミナルの離れたところでバスから下ろされた事例(うるおい7月号に掲載)を重視し、視障者が安全にバスを利用できるよう山視民協情報などでその実情を聞くところから取り組みを始めていく。7月のうるおいを読んだ人から、このような体験をするとともに、それへの対処の仕方について話を聞くことができました。
5 現在コロナの感染防止対策により、甲府駅を含む中央線の電車が自動ドアになっているが、コロナが終息の方向に向かうようであればJR東日本八王子支社に自動ドアの継続を要望していく。
皆さんのご理解とご協力をお願いします。
ことばのミニ解説
あっという間に季節は秋になり、今年も残すところあと2か月弱となりました。新型コロナウイルス感染症患者数が県内は一時期100人を超えるなど医療のひっ迫が心配されましたが、現在は、低年齢化が目立ち、新たな不安の多い今日この頃です。今月は「ブレイクスルー感染」について解説します。
「ブレイクスルー」は、障壁の突破を意味する英語で、一般的には、進歩、前進、また一般にそれまで障壁となっていた事象の突破の事など肯定的な意味で使われますが、障壁を突破されて問題が発生することも意味するそうです。「ブレイクスルー感染」は、変異し続けるウイルスにワクチン接種をしてもその予防効果を突破して感染することで、最近は全国各地からそんな事例を耳にします。日本では「ワクチン接種後感染」とも呼び、ワクチン先進国では、2回目接種後であってもマスク着用などの感染対策を呼び掛けたり、3度目の接種に踏み切るなどの対応に追われています。
まだまだマスク生活が続きそうです。そろそろインフルエンザワクチンの予防接種も考えなくてはならない季節です。手洗い・うがい・消毒を引き続き心掛けて体調を崩さないように心がけましょう。
うるおい俳句教室 越石 一彦 選評
埜村 和美
閼伽桶に満たす湧水秋の雲
(評)墓参という原始からの人間の営みと、季節ごとに雲が入れかわる自然の営みを、感情を抑え平明にさらりと叙した巧みな句。湧水に映える秋雲も、辺り一面の彼岸花の朱色さえも鮮明に浮かび上がる。
命名は祖父の太筆芋の露
(評)命名書は昔から父方の祖父の役目とされてきた。「太筆」とあるので元気な男の子の誕生に違いない。外は澄みきった秋空でまことに気持ちがよい一句。
石井 迪男
秋澄むや古き良き音の蓄音機
(評)回転の一定しない蓄音機から螺旋的な音色が秋空に拡がっていく。歪んだ音色と澄んだ秋空との対比が面白い。冷たい電子音に慣れてしまった現代社会であるが、今またレコードの重厚な温かみのある音色が見直されているとのこと。
老妻と終活語る夜長かな
(評)人生百年時代に突入したという。それぞれ老後の考え方も変わってきている。「終活」と表現されているが掲句に悲愴感などは全く感じられない。「さて、残された人生、二人で何をして楽しもうか」、秋の夜長に語り合える理想の夫婦像だ。
小川 賢治
ひとりごと言って夜中の秋を見る
(評)「秋深し隣は何をする人ぞ」という有名な句があるが、掲句は、秋の夜長に寂しくひとり言を呟いている作者自身の様子がユーモラスに詠われている。いかにも秋の夜長といった感じの一句。
ぼんやりと秋の雲見ておやすみを
(評)前句に続く一句だろうか。ひとり言を呟いてきた夜長でもさすがに眠気は襲ってくる。最近は街中が明るく夜中でも雲の流れがはっきりとわかるほどだが、掲句の夜の雲は澄み渡る秋の月が映しだす幻想的な雲であって欲しい。
小林 文雄
百舌鳥鳴きて急に静かになりにけり
(評)聴覚鋭い人ならではの一句。芭蕉の「岩にしみ入る蝉の声」も「蛙飛び込む水の音」も「動」ありての「静」を詠んだもの。掲句もまた同じ。俳句的感覚からの一句。
遠ざかる靴音も消す虫時雨
(評)「遠ざかる靴音」がまるで映画のワンシーンのようにドラマチック。季語の「虫時雨」の演出効果も鮮やか。助詞の使い方として、中七の「靴音も消す」を「靴音を消す」と換えると、焦点が「遠ざかる靴音」だけに絞られさらに印象的な一句になると思うがどうだろう。
相沢 幸雄
山下りる肌に染み入る朝の風
(評)川柳的な時事俳句が多い作者ではあるが、掲句は季感豊かにしっとりと詠み上げている。まさに俳句的抒情詩。因みに「身に入む(みにしむ)」は秋の季語。頬を伝う山の朝風がしみじみと気持ちがよい。
中秋の名月だんご消えても皿残りけり
(評)作者らしい句と言えばこちらか。五・七・五ならぬ九・七・七。十五夜の団子は近所の子供たちが盗って食べてもよいという故事を踏まえたものであり、残された皿に焦点を当てた面白い一句。
中牧 洋子
柚子の棘探りつつもぐ夫の指
(評)自分の指ではなく「夫」の指であることが掲句のポイント。自分の指なら、「棘に気を付けて柚子を採りました」といういわゆる「報告俳句」になってしまうが、掲句は「怪我をしないように気を付けてよ」という妻の愛情に溢れた、観察感の鋭い一句となっている。
木犀の香りを籠めた文届く
(評)季節の移り変わりをとても大事にしている人同士の「文」のやり取りであることがわかる。木犀の香りは最も秋を感じさせるもののひとつ。おそらく春の「文」の中には桜の花びらがそっと添えられていることだろう。
伊東 一敏
雲間から十五夜の月見え隠れ
(評)今年の十五夜の月は八年ぶりのいわゆる「中秋の満月」とのこと。甲府からは残念ながら雲が多く月の出は確認できず。しかし、時間の経過とともに、掲句通り、雲間から満月が見え隠れして天に感謝。季節の行事が徐々に失われていく昨今、作者のように季節の移り変わりに常に敏感でありたい。
「総評」
お彼岸の墓参りも無事に終わり、頬を伝う風もだいぶ秋めいてきました。今月号の「うるおい俳句」にもあるように、今年の十五夜では大勢の人が天を見上げたことでしょう。芒を飾り、団子や収穫物を供える、ささやかですが、こうしたそれぞれの季節の行事をしっかりと後世に繋げていきたいものです。
さて、今月のポイントとしては
・人事と自然 ・俳句的な読み方
・季題との対比 ・寂しさをユーモラスに
・俳句的な感覚 ・助詞の効用
・破調の面白さ ・観察眼
等がありました。ぜひ参考にしてみてください。
次回は十一月。皆さんの個性的な表現で「逝く秋」「冬はじめ」を一句にしてみてください。楽しみにしています。
「空稲架も瀬音も暮れを競ひつゝ」 一彦
それでは、25日締め切り厳守でご投句をお待ちしております。
暮らしのヒント
今月の暮らしのヒントは、「転倒事故を防ぎましょう」です。
高齢者の転倒事故の多くは、住み慣れた自宅で発生しています。東京消防庁によれば、およそ6割は自宅で転んでおり、具体的な場所は、居間・寝室、玄関、階段・廊下、浴室です。こうした実態を知り、身近な場所に転倒リスクがあると意識しましょう。そして、高齢者の生活環境を確認し、段差をなくす、雑誌や新聞を片付けるなど少しでも危険を減らし、万が一、転倒しても大けがに至らない工夫をする必要があります。
<居間>
(1)コードの配線は歩く動線を避ける。壁をはわせるか、部屋の奥にまとめましょう。
(2)引っ掛かりやすいカーペットやこたつ布団は使用しない。めくれやすいカーペットの下には滑り止めを敷きましょう。
(3)床に物を置かないようにしましょう。
(4)1~2cmの段差はつまずきやすいので、スロープをつけるか手すりをつけましょう。
<玄関>
(1)手すりをつけましょう。
(2)玄関マットの下には滑り止めを敷きましょう。
(3)靴の着脱のために椅子を置きましょう。
(4)上がりかまちが高い場合は踏み台を置きましょう。
<廊下・階段>
(1)手すりをつけましょう。
(2)床に物を置かないようにしましょう。
(3)転倒の原因になる滑りやすい靴下やスリッパは使用しないようにしましょう。
(4)足元がよく見えるよう照明を明るくしましょう。
(5)階段にすべり止めをつけましょう。
<ベッド>
(1)ベッドを壁に面するように配置し片方からの転落リスクをなくしましょう。
(2)ベッドガードと呼ばれる柵を利用しましょう。
(3)万が一、転落しても衝撃が緩和できるよう低床のベッドに変更しましょう。
※ベッドガードを使用する際には、柵やベッドとのすき間に首や体の一部が挟まらないように注意してください。
<浴室>
(1)椅子に座って着替えましょう。
(2)入口の段差が高い場合は、すのこやスロープで段差を小さくしましょう。
(3)すべりにくい床材にするか、すべり止めマットを敷きましょう。
(4)手すりをつけましょう。
引用:政府広報オンライン
新しい図書の紹介
◎デイジー図書
10-1
原田 マハ 著 | 12:11 |
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総理の夫 |
内容 日本初の女性総理・相馬凛子が誕生し、鳥類研究家の夫・日和は妻を支えようと決意する。だが国民目線の政策には、政財界のおじさん連中からやっかみの嵐。果たして凛子の理想は実現するのか。2021年秋公開映画の原作。
(音訳者:田中美智子)
9-2
西尾 維新 著 | 5:58 |
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掟上今日子の鑑札票 |
内容 殺人未遂事件の容疑者にされた青年・隠館厄介。いつも
通り忘却探偵・掟上今日子に事件解決を依頼するも、その最中、今日子が狙撃されてしまう。一命を取り留めた彼女だったが、最速の推理力を喪失してしまい…。
(音訳者:祢津彩子)
10-3
伴 一彦 著 | 7:17 |
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人生脚本 |
内容 ある日早紀は、家庭内別居状態の夫が電車事故に巻き込まれたという連絡を受けるが―。人気脚本家による鮮烈なサスペンス長編。
(音訳者:河口恵)
10-4
海堂 尊 著 | 5:53 |
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医学のひよこ |
内容 中学生医学生が帰ってきた!いのちを守る中学生たちの活躍を描く最新作。東城大医学部に通う中学三年生の曾根崎薫は、クラス委員の進藤美智子、ガキ大将の平沼雄介、医学部を目指すガリ勉の三田村優一ら同級生たちと、洞穴の中でみたこともない巨大な「たまご」を発見する。
(音訳者:武藤紀子)
10-5
ヒキタ クニオ 著 | 7:11 |
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バブル・バブル・バブル |
内容 福岡出身、当時20代の俺はクリエイターとして汐留の大型ライブハウスを任される。バブルのまっただ中、数々の変人と出会い、モデルと結婚して絶頂の日々も、確実に時代の変化が-。仕事と恋愛、青春の日々が甦る実話ノベル。
(音訳者 佐藤美代)
10-6
田澤 拓也 著 | 6:50 |
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1976に東京で |
内容 津軽から東京、そして出版社へ-。すべてが終わり、そして始まってもいなかった時代の中で、ルサンチマンを抱き生きる青年の苦悩と旅立ちを描いた1976年の物語。
(音訳者 長田久子)
◎貸出おすすめデイジー図書
この秋放送のドラマ、アニメ関連の本をご紹介します。
S10-1
うおやま 著 | 2:55 |
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ヤンキー君と白杖ガール |
内容 「最恐ヤンキー」と「弱視女子高生」のラブコメディ。街を牛耳る最恐ヤンキー・黒川森生と盲学校高等部に通う「弱視」の赤座ユキコ。出会ってしまった運命のふたり!想像もできないラブストーリーが始まる。5巻まであります。
(他館複製図書)
S10-2
冲方 丁 著 | 9:58 |
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剣樹抄 |
内容 「天下の副将軍・水戸黄門」として、誰もが知っている徳川光圀の若き日の活躍を描く。捨子を保護し育てる幕府の隠密組織捨人衆。光圀は様々な能力を持つ彼らとともに江戸を焼き尽くした明暦の大火の犯人を追う!
(他館複製図書)
S10-3
吾峠 呼世晴 原作・矢島 綾 小説 | 3:32 |
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劇場版 鬼滅の刃 無限列車編ノベライズ |
内容 蝶屋敷での修行を終え、次なる任務の地、〈無限列車〉に到着した炭治郎たち。一行は、鬼殺隊最強の剣士である〈柱〉の一人、炎柱の煉獄杏寿郎と合流し、〈無限列車〉の中で鬼に立ち向かう。昨年公開映画の小説版。10月から続きが放送されます。
(他館複製図書)
S10-4
香月 美夜 著 | 10:20 |
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本好きの下剋上第1部[1]兵士の娘 1 |
内容 本須麗乃は、念願である図書館への就職が決まったその日、
本に埋もれて死んだ。もっと本が読みたかった、そんな未練を抱いた彼女は、異世界の病弱な幼女マインとして意識を取り戻した。「本さえあれば」と思うが辺りに本はない。魔法の力を持つ貴族たちに支配された中世のような都市で、現代の知識を持つ少女が、本を手に入れるために奮闘する。続巻もあります。
(他館複製図書)
S10-5
澤村 御影 著 | 8:02 |
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準教授・高槻彰良の推察 民俗学かく語りき |
内容 “異能”を持った准教授と“孤独”を抱えた少年の目線を通じて、“人とつながること”の大切さを描いたヒューマンミステリー!怪異現象に目がない准教授・高槻彰良と嘘が見抜ける能力を持つ大学生・深町直哉がコンビを組み怪奇事件に挑む。
(他館複製図書)
◎点字図書
10-1
平沼 正樹 著 | 全4巻 |
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いきるりすく |
内容 自室で命を絶った女子高校生。自殺として扱われたものの、刑事・安西京香は違和感を抱く。真相を追う京香はやがて、セリーヌという「死神」と「1錠の薬」に行きつくが…。
(点訳者:奥本和代)
10-2
岩間 吾郎 著 | 全8巻 |
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いびつ伝 |
内容 大正10年、肢体不自由児の支援施設が誕生!最先端のリハビリあり、日本第一号のスクールバスあり…師範学校の体操教師と小学校教師の妻。二人三脚の軌跡…。矯正所ではなく、保護施設でもない学校を!柏倉夫妻に学んだ著者、畢生のノンフィクションノベル。
(点訳者:萩原敏美)
10-3
高橋 リエ 著 | 全2巻 |
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気づけない毒親 |
内容 まじめで一生懸命な、ちゃんとした親でも、子どもにとって「毒」になってしまうことがある。親子が理解し合うために役立つことを、個人レベルだけでなく、社会的な観点からも説明。親子の新しい関係性の築き方を提案する。
(点訳者:赤松貞子)
10-4
関根 欣幸 著 | 全2巻 |
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慟哭の島よさらば |
内容 戦争の悲劇と空しさを、戦争を知らない世代に告げたい。昭和の防人として極北の守備につき、突如激戦の渦に巻き込まれた一兵士の波乱に満ちた青春を綴る。
(点訳者:谷戸政枝)
10-5
太宰 治 著 | 全6巻 |
---|---|
新樹の言葉 |
内容 麻薬中毒と自殺未遂の地獄の日々から立ち直ろうと懸命の努力を重ねていた時期の作品。乳母の子供たちとの異郷での再会という、心温まる空想譚のなかに再生への祈りをこめた「新樹の言葉」。ほかに、「火の鳥」「八十八夜」など全15編。
(点訳者:小泉ゆう子)
10-6
佐伯 琴子 著 | 全4巻 |
---|---|
心臓に針を |
内容 美容外科医の貴夜には、封印した過去がある。暗闇から這い上がろうと愛を葬るとき、彼女の中で善と悪が反転し…。世間からこぼれ落ちていかざるを得ない人たちの生を、誰もが陥るかもしれない悪を通して描く。
(点訳者:仲田ルリ子)
10-7
石田 雅男 著 | 全3巻 |
---|---|
老いる技術 |
内容 人は誰でも、年齢を重ねるごとに衰えていきます。加齢を真正面から受け止め、いずれ訪れる人生の円熟期に向けて今から準備しておきましょう。人生を謳歌するためのとっておきのノウハウを、著者が実体験に基づいて解説します。
(点訳者:宮澤越美)
10-8
又吉 直樹 著 | 全5巻 |
---|---|
東京百景 |
内容 東京は果てしなく残酷で時折楽しく稀に優しい-。お笑いコンビ「ピース」の又吉直樹がすべての東京の屍に捧ぐ、比類なき文章100編。東京での思い出を、その折々の風景に委ねてつづる。
(点訳者:前田コト)
10-9
門井 慶喜 著 | 全5巻 |
---|---|
ゆけ、おりょう |
内容 幕末の京都で出会った「世話の焼ける弟」のような男・坂本竜馬と結婚したおりょう。寺田屋で竜馬の命を救ったおりょうは日本初のハネムーンで薩摩へ、軍艦に乗って長崎へ…。
(点訳者:古屋玲子)
10-10
たけたに ちほみ 著 | 全2巻 |
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わきだせ!いのちの水 |
内容 日本が誇る伝統の「上総掘り井戸」を応用し、開発途上国・難民キャンプにきれいでおいしい水を! 現地の人びとへの指導に力を注ぎ、持続可能な国際支援を目指した大野篤志さんの実践を伝えるとともに、多様な生き方を考える。
(点訳者:天野宰子)
10-11
高橋 真理子 著 | 全2巻 |
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すべての人に星空を |
内容 「病院がプラネタリウム」は、長期入院をしている子どもたちや難病児者と、その家族のもとへ出向き、星を届ける活動。初めて星空に出逢った子どもたち、親たちに湧く力。星空を届けるなか生まれた物語を紹介する。
(点訳者:清水みち子)
◎一般CD雑誌(音楽CD用デッキで再生可能)
内閣府 寄贈 | 1 枚 |
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音声広報CD マイナンバー制度のご案内 | |
内閣府 寄贈 | 1 枚 |
音声広報CD 明日への声 Vol.81 |
◎点字雑誌
ラジオ日本 寄贈 | 1冊 |
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ラジオ日本 点字番組表(拡大文字記載)令和3年10月~令和4年3月版 |
10冊寄贈されましたので、ご希望の方は貸出までご連絡ください。9名の方に差し上げます。
東日本電信電話株式会社 寄贈 | 1冊 |
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令点字電話帳 山梨県版2021年9月発行 |
4名の方に差し上げます。
全国銀行協会 寄贈 | 1冊 |
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令和3年度版キャッシュカードや通帳の盗難・紛失時のご連絡先 音声コード付 |
4名の方に差し上げます。
自由民主党 寄贈 | 1冊 |
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自由民主 令和3年9月発行 |
4名の方に差し上げます。
内閣府 寄贈 | 1冊 |
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点字広報誌 マイナンバー制度のご案内 | |
内閣府 寄贈 | 1冊 |
ふれあいらしんばん Vol.81 点字・大活字・音声コード付 | |
自厚生労働省 委託 | 1冊 |
点字 厚生 第286号 | |
国税庁 寄贈 | 1冊 |
点字広報誌 私たちの税金 | |
盲人伝道協議会 寄贈 | 1冊 |
信仰 2021年9月号 | |
全日本鍼灸マッサージ師会 寄贈 | 1冊 |
東洋療法 2021年9月号 329号 | |
ビッグ・アイ 寄贈 | 1冊 |
大阪府障がい者舞台芸術オープンカレッジ2021 表現のコース 参加募集のチラシ応募締め切り10月15日必着 |
◎大活字雑誌
内閣府 寄贈 | 1 冊 |
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大活字広報誌 マイナンバー制度のご案内 音声コード付 |
◎貸出おすすめデイジー雑誌
株式会社カドカワ | 1枚 |
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ダ・ヴィンチ抜粋版 9月号 |
今月のおすすめ雑誌は「月刊誌 ダ・ヴィンチ抜粋版」です。収録時間は、約11時間です。
最新号:2021年9月号
「ダ・ヴィンチ抜粋版」は、メディアファクトリー ダ・ヴィンチ編集部が発行する本とコミックの情報マガジンです。抜粋版は「注目の新刊情報」「ダ・ヴィンチなんでもランキング」「絶対読んで得するコーナー」「旬の本棚」の記事を紹介します。墨字の新刊にご興味のある方はいかがでしょうか。
また、テープ図書の貸出は、来年令和4年3月31日をもって終了となります。利用者の皆様には、カセットデッキからCD図書再生機への移行準備をお願いします。プレクストークの入手困難な方は貸出係(055-223-1113)までご相談ください。
≪用具部からのお知らせ≫
まずは、一部白杖の価格変更に関するお知らせです。白杖や用具の販売を行っている「日本点字図書館 わくわく用具ショップ」は、一部の白杖や石突と、「音声時計キーホルダー型」について、メーカーからの仕入れ値変更のため、販売価格の値上げを発表しました。これに伴い、山梨ライトハウスにてお取り寄せする際の価格も変更となります。
価格変更となる白杖は「IDケーン」と「アドバンテージ」
の2種類です。スタンダードタイプの石突の場合、「IDケーン」が1,400円の値上げ、「アドバンテージ」が1,165円の値上げとなります。
続いて、石突です。「アドバンテージ」と「IDケーン」用のスタンダードチップ、さらに特殊な石突の「ローラーチップ」「ティアドロップ」の、計4種類が値上げとなります。商品ごとに値上げ額が違いますので、ご希望の方はお問い合わせください。
なお、こちらの石突4種類につきましては、現在、山梨ライトハウスにもわずかながら在庫があります。在庫分につきましては、変更前の価格で販売しますが、在庫分が売り切れ次第、新しい価格での販売となります。
「音声時計キーホルダー型」は、300円の値上げです。こちらも在庫分につきましては変更前の価格で販売しますが、在庫がなくなり次第、新しい価格に変更となります。
皆さまには、諸般の事情をご理解いただきますよう、どうぞよろしくお願いします。
次に、白杖関連の小物をご紹介します。
「携帯用白杖 収納ケース」
折りたたんだ携帯用白杖を収納できる巾着袋です。撥水性の高いナイロンタフタという生地を使用しています。布地の色は紺色です。コードストッパー付きなので、口を絞って閉じた後でストッパーを使用すれば、きっちり固定され、口が開きづらくなります。袋の内側には、氏名・電話番号が記入できるラベルが付いています。
サイズは、30cm、32cm、35cm、39cmの4種類。杖の長さによっては、袋の口が閉じない場合があります。
在庫限りの特別価格200円で販売します。数に限りがありますので、売り切れの際はご容赦ください。郵送でお届けの場合は、別途料金(送料と郵便局での払込手数料)がかかります。
商品仕様
•大きさ:(長さ)30~39×(幅)10cm
•重さ:10~12g
•メーカー:ジオム社
以上、お問い合わせ・ご注文は電話055-223-1113(貸出・用具専用番号)まで、お願いします。